ダンスミュージックのトラックのオンラインディストリビューターとして最大手のBeatport(ビートポート)。
DJをやったことがある人なら、ほとんどの人はアカウントを持っていたり、一度は何かしら購入したことがあるサイトでしょう。
このBeatport、最近は積極的に動画(特にライヴ動画)をアップロードしていて、いい感じです。
それ以外にもBeatportって、ビジネスがすごい上手いなと前から思っていました。
今回はこの辺りを私見たっぷり、マニアックに解説したいと思います。
Beatportはいつからあるの?
Beatportの運営は2004年からとのこと。
2004年といえば、インターネット回線はADSLが主流。パイオニアのCDJはCDJ800、1000がクラブに置かれていました。
インターナショナルなDJは、レコードとCDを併用してプレイしていましたが、少しずつCDの比重を上げてプレイしていっていましたね。
なお、PCDJの普及は皆無に等しく、USBメモリでのプレイはできない時代でした。
BeatportでダウンロードしたトラックをCD-Rに書き込み、トラックリストを自分で作成して、レコード的にプレイしていました。
今考えると結構面倒な作業でしたが、それでもレコードしかない時代よりもかなりコスパがよかったんですよね。
ちなみに僕は、初めて現場でDJすることが決まった時(2005年)に、パイオニアのCDJ200をローンで購入しましたので、その頃からずっとBeatportにお世話になっていることになります。
↓当時ダウンロードトラックたち。懐かしい名前もちらほらw
2019年からサブスクリプションでもサービス提供
これまでは、好きなトラックを選択して都度購入してダウンロードする、言わば「(初期の)iTunes Music Store」のようなサービス提供をしていました。
2019年からは、Beatport Linkという名前で、Rekord box DJとWE DJ限定(2019年8月現在)ながら、全曲クラウド提供のサブスクリプションサービスを開始しました。
やはりSpotifyがトラックを無料で開放したことによって、トラックを選択して都度購入するのが陳腐化したのは否めません。音楽トラックの価値のパラダイムシフトが起きたわけです。
しかし全曲にアクセスできるというところに、価値をシフトしたのはさすがですね。
会社としてもサブスクリプションによって、売上の見通しを立てやすくなったはずです。
最近では動画での情報発信に余念がない
このようにしっかり時代の流れを読み、戦略的な運営を行っているBeatportですが、最近は動画での情報発信に力を入れているようです。
本当に素晴らしいですね。これからはどう考えても「ネット上の、ほぼすべてのコンテンツは動画にシフトしていく」ので、動画での情報発信を行うことはユーザーとの結びつきを強めることになるからです。
DJのライヴ動画のみならず、インタビュー動画、、ハウトゥー動画など、動画マーケティングの王道ジャンルをしっかりと抑えています。さすがですね。
ビッグデータやAIをワークフローやマーケティングに取り入れている
最新テクノロジーに明るい人がBeatportのサイトを見たら、データサイエンスをフル活用する運営を行っていることに、すぐに気づくはずです。
わかりやすいところを挙げるなら、例えばレコメンド機能とかかなりの精度ですよね。これだけで
ちなみに、おそらくBIツール(あらゆるビッグデータを集積・整理・解析する)を活用していると思われるので、例えばレコメンドはBeatportのサイト上だけではなく、YouTubeやFacebookのデータも反映した上で決定していると思われます。
おすすめ動画
動画マーケティングに力を入れるBeatportのYouTubeチャンネルで、僕がおすすめなものを以下に貼っておきますね。
なお、ライヴ動画のジャンルはほぼハウスかテクノですよ!
YouTubeをテレビで見るなら、Fire TV Stick経由がコストもパファーマンスも最高です。
ANNA DJ set – ReConnect: #TogetherForBeirut | Part 1 | @Beatport Live
Peggy Gou DJ set – Lost Horizon Festival | @Beatport Live
La Fleur DJ set @ Creamfields 2019 | Beatport Live
Yotto b2b Jeremy Olander – Anjunadeep x Beatport
Joris Voorn – A Guide to Nightlife in Amsterdam
Nicole Moudaber Interview | Tech Open Air 2019, Berlin
ローカルDJも何かしらの定期的な情報発信をやったら?
情報過多、選択肢過剰の現在、その他大勢との差別化を図るには「積極的な情報発信」をやるに限ります。
僕は現在DJをやっていませんが、ブログやLINE@での日々の情報発信のおかげで、全く知らない人にも日本のダンスミュージックシーンのおかしいところや、インターナショナルなシーンの実情を知ってもらえています(読んだ方からメッセージも頂くこともあります)。
つまり、自分と同じベクトルのファンを少しずつながら、育てることができるのです。
ネットでの発信を通じて、まだ見ぬ人に自分のことを知ってもらい、その人を楽しませる事によって自分のプレイを見るために足を運んでもらう。
インターナショナルな視点で見ると、DJもイベントもフェスも普通にやっていることに気づくでしょう。
例えば、Tomorrowlandのライヴ動画配信なんて、完全にそれを目的としていますよね。
あとMIYABIなんかはライヴ動画をYouTubeにアップロードすることによって、海外からブッキングをもらうことに成功しているそうです。
それなのに、日本の多くのローカルDJが、情報発信をやろうとすらしません(やるのはイベント告知を目的としたSNS投稿ぐらいのものです)。
しかも、ひどい場合にはTwitterで身内で馴れ合いのようなやり取りをしています。そんなことはLINEで雑談スレのグループでも作ってそこでやってればいいw
どうせやるなら、ローカルDJ特有のMLMのような草の根的な集客活動はやめて、インターネットのレバレッジを活かして活動されることをおすすめします。