私たちは現在ライブハウスやクラブや劇場などの文化施設が新型コロナウイルスの影響で苦境に立たせれている現状をなんとか打開しようと、助成金交付に向けた嘆願書を作成し、署名を集めています。#SaveOurSpacehttps://t.co/OVObtymowj
— SaveOurSpace (@Save_Our_Space_) March 27, 2020
この「新型コロナウイルス感染拡大防止のための文化施設閉鎖に向けた助成金交付案(#SaveOurSpace)」が、30日の夜までに10万人の署名を目指し、30日の日中の時点では9万人の署名を集めたようです。
「助成がなければ、ウィルスの感染拡大はやむなし」という暴論
署名フォームに記載されている文章を引用します。
日本政府、国会議員の皆さまへ
現在、ライブハウス・ナイトクラブ・劇場は、新型コロナウイルスの影響により経営の危機に瀕しております。イベントの自粛要請、不要不急の外出の自粛要請のなかで、公演の中止が相次ぎ、売り上げの急落が起きています。
今この状況下では集団感染の発生を防ぐことが大切なことだと理解をしながらも、経済的な事情により営業を続けざるをえない状況に陥っています。
そして、その状況下で従業員はもちろん、出演者、音響エンジニア、照明エンジニアなど多くの関係者にも大きな被害が発生しています。そこで、我々は感染拡大を防ぐため、各会場の代表者を主体として、政府が収束を発表するまでのあいだ会場に観客を入れることの停止を検討しています。
感染拡大の防止に向けた客入れの停止を行うために、自粛要請が始まった2月26日から政府が収束を発表するまでの期間を対象期間として設定し、助成を国へ求めます。
この助成には、施設の維持費、従業員の給与、イベントの製作経費 (出演料、音響、照明)などを含みます。
また、新型コロナウイルスの影響でこれまでに中止にした公演に関しては、実損額を提示し、同額の助成を求めます。他業種と比べて集団感染の発生の可能性が高い場所であることは事実であり、いま感染の拡大を防ぐことはとても重要な事であると考えております。
この助成案を実現して頂けたら、文化施設、従業員、出演者、関係者、一丸となり新型コロナウイルスの収束へ尽力いたします。また、会場閉鎖期間中は、無観客でのライブストリーミングなどにシフトし、集団感染のリスクを排除した状態で文化の継続と発展のために出来ることを模索致します。
この文章の気になるところをピックアップして、物申していきます。
- 今この状況下では集団感染の発生を防ぐことが大切なことだと理解をしながらも、経済的な事情により営業を続けざるをえない状況に陥っています。
- 我々は感染拡大を防ぐため、各会場の代表者を主体として、政府が収束を発表するまでのあいだ会場に観客を入れることの停止を検討しています。
- 感染拡大の防止に向けた客入れの停止を行うために、自粛要請が始まった2月26日から政府が収束を発表するまでの期間を対象期間として設定し、助成を国へ求めます。
- また、新型コロナウイルスの影響でこれまでに中止にした公演に関しては、実損額を提示し、同額の助成を求めます。
- この助成案を実現して頂けたら、文化施設、従業員、出演者、関係者、一丸となり新型コロナウイルスの収束へ尽力いたします。
他人の苦しみより自分たちの安全が大事ってこと?
今この状況下では集団感染の発生を防ぐことが大切なことだと理解をしながらも、経済的な事情により営業を続けざるをえない状況に陥っています。
集団感染の発生を引き起こす原因を作るのは、テロを起こすのと同義ですよ。
社会のことを考えれば、即自粛する判断を行うのは止むを得ないはずです。
経済的な痛手は誰しもかぶっているわけですが、「この状況で何かマネタイズの方法はないか」と思考を巡らせなかったのでしょうか?
この期に及んで入場停止をまだ行っていない?
我々は感染拡大を防ぐため、各会場の代表者を主体として、政府が収束を発表するまでのあいだ会場に観客を入れることの停止を検討しています。
感染拡大の防止に向けた客入れの停止を行うために、自粛要請が始まった2月26日から政府が収束を発表するまでの期間を対象期間として設定し、助成を国へ求めます。
「会場に観客を入れることの停止の検討=今も観客を入れている=今も集団感染の発生を引き起こす可能性を作っている」ということですよ。
これが「感染拡大を防ぐことを最優先に、経済的な危機を顧みず自粛し観客を入れない状態を作っているが、経済的な負担がかなり大きいから助けてほしい」というのなら理解できます。「感染拡大防止ありき、社会への影響ありき」だからです。
順番が逆ですよ。
政府に損害賠償?
また、新型コロナウイルスの影響でこれまでに中止にした公演に関しては、実損額を提示し、同額の助成を求めます。
「実損額を提示し、同額の助成」って、これでは賠償金よこせと言っているのと変わりません。
対応のまずさが指摘されたこともありましたが、日本政府が新型コロナウイルスをばら撒いたわけではないし、実損全額を保証する責任はありませんよ。
繰り返しになりますが、「感染拡大防止ありき、社会への影響ありきで措置を施したこと上で、きつすぎるから助成金を…」というのなら、社会的価値があるならまだ理解できます。
自分たちさえ助かればいいという狂気とエゴ
この助成案を実現して頂けたら、文化施設、従業員、出演者、関係者、一丸となり新型コロナウイルスの収束へ尽力いたします。
ここにこの発起人や賛同者の本音が詰まっていると言っていいでしょう。
助成案を実現しなければ、新型コロナウイルスの収束へ尽力しないという意思です。
助成金とは未来の国民の借金である
少し話がずれますが、僕は有事の際に給付金とか助成金を(たっぷり)よこせと大声を出す人が非常に苦手です。
給付金とか助成金と言う前に、考えてほしいのです。
- 自分が平穏無事な時に、困った国、地域、団体、人に対して義援金や寄附、助成をしたことがあるのですか?
- 十分な額を高頻度で提供していますか?
もちろん年に1回とか硬貨で済ませる程度じゃ話になりませんよ。
そして、助成金とは財源は国であり国民の税金ですが、予算の中に入っていないので、未来の私達や子どもたちに借金を押し付けることになります。
借金を必要悪とするなら、その場合は今コロナ感染の拡大を必死に食い止めようとしている団体や人(主に医療従事者)に大半を充てられるべきです。
自分の利害しか考えられないような業界や関係者に充てる余裕もないし、充てるべきではありません。
攻めるべきはコロナであり政府ではない
今回の#SaveOurSpaceの件は、自分の都合ばかりを押し付け、政府を敵視している感ばかり前面に出ていて、とても残念でした。
私たちの敵はコロナという未知の病原菌であり、政府ではないのです。
そしてこれに賛同してしまった人のほとんどは、中身をしっかり見ずに条件反射的だった可能性が高いでしょう。
一見素晴らしいことに見えて、実際は害悪となっていることは世の中には数多くあります。くれぐれも気をつけないといけません。
最後に、、、
Facebookのドネーションの機能、クラファン、ライブ配信の投げ銭、特別年間フリーパス・フリードリンクの販売、マーチャンダイズ、、、などでの支援は吝かではありません。
>人類史上事例のない、未知の最大の脅威に対して一丸となるべきは「社会、世界、地球」であり、「文化施設、従業員、出演者、関係者程度」の狭い問題ではありません。
全面的に同意です。
facebookで知人から記事がまわってきましたが、おおっぴらに問題点を指摘するのもどうかと思い モヤモヤした気持ちでいました。
同じような考えの方がいてほっとしました。
はい。音楽・文化・機会を守ること自体には賛成ですが、書かれている内容を咀嚼すると賛同できません。
どんなに素晴らしいサービスでも、契約や規約に許容できない点があれば、疑問を呈して取引しないのと同じ理屈です。
要点が簡潔にまとまっていて物凄く読みやすくわかりやすかったです
文化を守るという美名に酔ってしまってるのかと感じてます
僕も20年近くダンスミュージック、クラブ、フェスに少なくないお金を落としてきているので、そりゃ愛着はあります。
でも「サステナビリティ」という観点で考えると、僕はここに書かれている内容にとうてい賛同はできないのです。
同意見です。
個人的には賛同者がそのお金を出せばよいのでは?と思います、であるのであれば自分も幾分かは寄付無いし客として金を落とすでしょう。
最初から人に金をタカるような活動には1mmたりとも賛同できません。
とにかくまずかったのは「助成金をくれなきゃ感染源を見過ごす」というところです。仮にそういつもりでなかったら、早急に署名の経緯文を書き換えないといけません。
あとこの記事に書いた後に思ったことですが、仮に助成金の獲得に成功しても行政はとにかく処理が遅いので、そこに期待してしまうと、時間による金銭的損失も大きそうです。
でもようやくクラブがクラファンや、無料ネットショップのシステムで再開後のエントランスやドリンク回数券を売る動きになってきていますね。
自らマネタイズの機会を作りだされたほうが、将来振り返ってみるとサービス向上のけっかけにもなり有意義なのでは?と、零細企業の経営者兼経営コンサルタントでもある僕は思います。