5月のEDC JAPANに、7月のS2O JAPAN、8月のサマソニ、9月のUltra Japan(ウルトラジャパン)と、夏を駆け巡るがごとくフェスが続きますが・・・
文字を並べてみると、海外フェスの日本版が目立つなーということに気づきました。
もちろん、海外フェスの日本版が幅を効かせているのは、世界のシーンと連動しているのであれば、悪くはないと思います。
しかし、このブログでも何度か書いてきているように、グローバルなダンスミュージックシーンと連動していると思いきや、日本特有の路線とノリ、いわゆるガラパゴス状態になっています。
また、国産フェスがいっぱいあったときもあったし、その中には良質なものもありましたが、存在感は海外フェスの日本版に隠れがちというのは否めないでしょう。
そこで、僕は一つ疑問に思うことがありました。「海外フェスは輸入されているのに、なぜ国内フェスは輸出にも至っていないのか」と。
というわけで、今回は「海外フェスは輸入されるが、国内フェスが輸出されない」理由について、私見たっぷり、時には言葉選ばず取り上げたいと思います。
経済先進国のプライドがないからですよね
話が飛躍したかのような感じになってしまいますが、これが事実だと思います。
EDCとウルトラはアメリカ発のワールドワイドなフェスです。日本に輸入はされていませんが、Tomorrowlandはベルギー発です。
他にも調べていくとわかるのですが、ワールドワイドなフェスは経済先進国が行っています。新興国が経済先進国に乗り込んでいくことは、ほとんどないのです。
本来的に経済先進国は、カルチャーやエンターテイメントの分野でも先導していきます。
例えば、アメリカのハリウッドの映画文化や、ウォルトディズニーグループなどを見ればわかるでしょう。
しかし、日本はこの点に関して経済先進国であるにもかかわらず、前々から非常に受け身です。
それは、東京はディズニー、大阪にはユニバーサルスタジオに人が群がっていることからも、それは明らかです。
そしてフェスに関しても全く同じ道を辿ろうとしています。S2Oはタイのフェスですが、成長著しいとは言え、タイは元々日本の後ろを走っていた経済新興国ですからね。
最近はそれに加え、ageHaでUltra Korea Pre-Party(ウルトラ・コリア・オフィシャル・アフターパーティ)とやらが開催されていました。
もはや自国で行われない、他国のフェス(しかもエンターテイメントの世界では関係ない話ではありますが、友好国ではないですよ)の名前の冠を載せていますからね。
きっと、そこにはプライドも何もありません。
じゃあなぜ輸出に踏み切れないのか?
大きく分けて3つ理由があると思います。
世界に通じるDJがいないから
世界に通じるDJの手厚さがあれば、その国のフェスやイベントに自ずと注目されるので、海外に飛び出すための起爆剤となります。これは、イギリスやオランダ、スペインあたりを見ればわかります。
世界に通じない理由は色々とあると思いますが、本質的に「才能もやる気もある人を生かさない環境」に原因があるでしょう。
わかりやすい例を出すと、日本のダンスミュージック業界には、若い才能を育てるテイの”オーディション”や”コンテスト”というエサを撒きながら、最終的には潰したり有耶無耶にするという、悪しき慣習があります。
例えば、ヨーロッパでAviciiと共演したという、一時国内フェスでよく見たYとかそうですが、ドリンクメーカーの名前が冠が付いたコンテストで賞をとっても、世界で活躍し「続ける」ことにはなりません。ひどい場合には消えますしw
もちろん、いつまでもサポートを期待するべきではないというのは、まったくもって正しいのですが、あの手の”オーディション”や”コンテスト”には、その後の活躍を追ったり活躍をプロモーションすることに積極的ではないんですよね。
まあビジネスとして考えると、特にマネタイズポイントがなくなるので、その後は放置になるのは当然かも知れませんけどね。応募する人は、そのへんを把握していないといけないということになるのですが。
結果的に、“オーディション”や”コンテスト”で晴れ舞台で一時的にゲットしても、ローカルイベントでちょっとポジションが上がったローカルDJになるだけです。
実際、世界で通用している日本人DJなんて、トミイエサトシさんとケンイシイさんぐらいしかいませんからね。
彼らは黎明期のクラブシーンという先行者であり、腕っぷしで成功した人たちですが、彼らレベルの成功者が量産される仕組みや実績がないと、海外から日本のフェスに注目が集まることはないでしょう。
ダイナミックさを日本を仕切ってるおっさんどもが認めないから
フェスって非日常体験だから、クレイジーなまでに振り切ったコンセプトや演出って大事です。
TomorrowlandもEDCもクレイジーなほどの演出ですし、バーニングマンの設定も中身もとてもとてもクレイジーです。
体験価値を振り切ることに、ベストを尽くしているのです。なのに、日本のフェスって「消防法が・・・」「道路法が・・・」と、何かと制約に怯えながらやっている感があります。
日本でどんなに素晴らしいダイナミックな演出で、事故を起こすものでないイベントを企画したとしても、時代遅れになっているかも知れない制約(法律)のせいでボツです。
制約なんぞ試しに破ってみては?と思いたいところですが、何かあったらマスゴミたちがここぞとばかりに破壊的な報道をし始めます。制約は将来的な開催に影響するので、厳守必須なのです。
要は、ダンスミュージックやフェスに対して理解がないおっさんの顔色を窺って出来上がった、中途半端なフェスとも言えます。
そんなフェスが世界から注目を浴びるはずがありません。
多くのオーディエンスにとって、出演DJは誰でもいいから
イベント当日になってもお目当てがいないor覚えていない人が当たり前にいるフェス。
アトモスフィアが世界のフェスと共鳴するものではないので、注目を浴びるはずがありません。
控えめに言って日本のシーンは衰退していますよね
こんな感じで、日本のフェスは世界から認められるに値しないので、輸出に至るはずがないのです。
これに加えて、少子高齢化が進行しますし、客のほとんどはライフステージの変化で「卒業」するので、客数は減り続けることはあれど、増えることも現状維持も絶望的です。
まあ、フェスは客数もコンテンツの一つなので、衰退は免れないでしょうね。実際2019年のウルトラジャパンは例年の3日間開催を取りやめ、2日間開催にシフトしました。
この流れに逆らうことはできないので、遊ぶなら海外に積極的に足を運んだり、海外の友だちを作ったり、DJをするならもっと自分を評価してくれるところを探したり、活動の場所を柔軟に変えていったほうがこれからの人生楽しいと思います。
今回はこんな感じで。
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