今回はスウェーデンのProgressive Houseの重鎮、Eric Prydz(Pryda、Cirez D、Tonja Holma)をご紹介します。
メジャーデビュー時はコマーシャルなElectro House
おそらく長年エレクトロダンスミュージックを聴いている人、国内・海外問わずにクラブイベントや海外フェスティバルに足を運ぶのが日常になっているレベルなら知らない人はほとんどいないのではないでしょうか。
2000年代前半ごろから頭角を現し、2004年の「Call On Me」や、幼馴染でもあるEDM界のトップアーティストSteve Angelloとの共作「Woz Not Woz」とヒットを飛ばし、現在でもセットリストに入れている「Pjianoo」で唯一無二のポジションを築きました。
Call On Me
Eric Prydz & Steve Angello – Woz Not Woz
Pjanoo
*上記の「Call On Me」のYoutubeムーヴィーではEDMの最大手レーベルSpinnin’Recordsの提供となっていますが、リリース当時はUKのビッグクラブMinistory of Sound傘下のコマーシャルサウンドレーベルData Recordsのディストリビューションでした。
「Call On Me」「Woz Not Woz」がリリースされた頃は、は六本木のクラブのメインフロアでもヘヴィプレイされており、実際僕もFlower(現Six Tokyo)でプレイされていたのが今でも記憶に残っています。その頃のEricのスタイルはコマーシャルなElectro Houseのポジションだったのです。
「ジャンル:Eric Prydz」が過言ではないほど超越した存在
現在のEricのプレイジャンルはProgressive House, Technoになりますが、セットの大半は自分のトラックを使用するギグが多いためか、ジャンルという区分けがあてはまらないイメージすらあります。
TechnoといえばEricはCirez Dという別名義(ついでにMousevilleというTechno向けのレーベルも所有している)もあり、2017年のベルギーの世界最大級のフェスTOMORROWLANDではAdam Beyerがホストを務めるDrumcodeステージでプレイしています。また逆にEricがホストを務めるPRYDAステージではAdamがプレイしていますね。
Eric PrydzはEDM、Trance、House、Technoといった広い方面のDJ・アーティスト、ファンから支持をされています。
特にTrance方面のアーテイストからの支持が多く、2016年はArmin van BuurenのA State of Trance 750 Miami(UMF 2016)に朋友Deadmau5と共に出演、また2017年にはMiamiのRC Cola PlantでAbove&Beyondがホストのイベントにも出演していました。
またUnreleasedなRemix作品がたくさん存在するのも特徴です。Arminは近年すっかりEricの代名詞ともなった作品「Opus」の GMS Reworkを最近のセットでは積極的にプレイしています。Trance界の重鎮デュオPureNRGのRemixも。さらにはHelsinki’s Philharmonic Orchestraのヴァージョンまであるようです。
Opus
Opus (G.M.S rework) [#ASOT804]
Opus (Pure NRG Remix)
同じ時期に発表された「Generate」も多くのRemixがされました。
Generate
Generate (Talla 2XLC vs. Cold Blue Uplifting Rework)
Generate (Kölsch Remix)
*Kölschのは僕もよくプレイしていました。
こちらは2015年のUMF JapanのresistanceステージでNic Fanciulliが日没の夕焼けがきれいなタイミングでプレイしていましたが、とても美しい景色が出来上がっていましたね。
新名義Tonja HolmaとTechhouse
2017年の11月、Pryda Recordingsより新名義Tonja Holmaで4トラックリリースを行いました。
TRIPPLETON
SPANISH DELIGHT
LOCO
GLOBAL
DJ Magの記事「ERIC PRYDZ’S DEBUT EP AS TONJA HOLMA HAS LANDED: LISTEN」にも記載がありますが、Cristophのようなサウンドを強く感じさせます。
あくまでも個人的な見解ですが、ヨーロッパではここ最近Technoやtechhouseの流れが強くなっていますが、2018年以降はEricもTechnoやtechhouseのサウンドを強めるのではないかと思います。
それは2017年のTOMORROWLANDでのPRYDA Stage、Hï Ibizaのレジデントイベント、Epic Radioでフィーチャーしているラインナップからも見て伺えます。
Epic5.0
インハウス・フェスティバル「Epic」を主催している。
壮大な世界観と最新テクノロジーを駆使したホログラムが特徴的。
その他
Real Progressiveの祖
Eric Prydzの特徴的なProgressiveサウンドはその後の多くのトラックメーカーに影響を与えた。特にGrum、Fehrplay、Capa、Luke Chable(2010年代)は顕著である。またProgressiveレーベルのZerothree Musicでは、それらのサウンドを「Real Progressive」という単語で定義している。
ロックレジェンドからもインスパイアされている
Depeche Mode, Kraftwerk, Iron Maiden, Def Leppardがフェイヴァリット。
(他にもChemical BrothersやPink Floydも好きである)
飛行機恐怖症
現在はアメリカロサンゼルス在住。Fear of flying(飛行機恐怖症)として有名。イビサ島での初めてのDJでは、電車と船で2日半をかけて移動して遅刻。
最近では2017年TOMORROWLAND出演時も、パリから電車の人身事故で2時間以上の立ち往生を食らい、メインステージの出演に遅刻(駅からは警察のエスコート付きで車で猛スピードで会場に向かったらしいw)。
IBIZAでは(おそらく後を)プレイするJohn Digweedが持ち時間を1時間多く譲ったとのこと。また、TOMORROWLANDではEricが登場するまで(おそらく20分程度)Afrojackがプレイ。
なお、アジアではインドのみギグの実績がある。来日は一度もなく、おそらく今後は期待できそうにない。
プレイは基本的に現場だけ
アーティストアカウントやレーベルアカウントでのDJギグのMOVIEのアップロードやLIVE STREAMはほぼ全くと言ってよいほど行っていない(Ultra Music FestivalやTOMORROWLANDなどの主催者が載せることはある)。
セットはほとんど自分のトラック
プレイするトラックは自分の新しいトラック中心でそのイメージが強いが、これまでのギグ全体で見ると他のアーティストのトラックも時々混ぜてプレイしていることがわかる。
- Agents Of Time – Magma
- KiNK – Cloud Generator
- Miguel Bastida – Ecos (Tim Engelhardt Remix)
- Bedrock – Heaven Scent (M.O.D.E Remix)
- Roberto Capuano – Maison
- Jerome Isma-Ae – Smile When You Kill Me (Blake Jarrell Remix)
- Orkidea – Nana (Jerome Isma-Ae Remix)
朋友はDeadmau5
Deadmau5は音楽性のベクトルも近いアーティストであり、友人でもある。TOMORROWLANDやMIAMIのイベント等、度々Back to Backでプレイをしている。
John Digweedとは尊敬しあっている
オールタイム・フェイヴァリットのDJはJohn Digweed。